ラブちゃん事件勝訴
名古屋地方裁判所医療集中部で獣医師の過失認められる
ミニュチュアダックスフンドのラブちゃんが、1才になり避妊手術を受けたところ、翌日に死亡した事件で、獣医師の過失を問う訴訟を飼い主のご夫婦が提訴し、私がその代理人を務めた事件の判決が平成21年10月28日に名古屋地裁の医療集中部でありました。
ラブちゃんは、術前の検査で血糖値が高く、異常値であったにも関わらず、獣医師は麻酔をかけ避妊手術を行いました。避妊手術は、緊急性を要する手術ではないため、普通はこのような場合は手術を延期し、血糖値が高い原因を確認するのですが、この獣医師は、飼主には一切連絡することなく、手術を強行しました。
術後、指定された時間に飼い主がラブちゃんを引き取りに行こうとしたところ、向かえ時間を延期を指示され、その延期された時間に向かえに行くと、ラブちゃんは元気がなく、獣医師は「麻酔の覚めが悪かった。暖かくしてください」というのみで、それ以上の指示をするでもなく、入院もさせず、ラブちゃんを帰宅させました。
ラブちゃんは、帰宅後、元気がなく、咳き込むなどしていましたが、翌日も元気がないため、獣医師の診察を受けさせようとしましたが、午後休診していたため、飼い主は術後なので元気がないのかと様子を見ていましたが、引き続き様子を見ていたところ、そのまま翌日深夜に死亡してしまいました。
飼い主は、高血糖であることがわかっていれば手術はさせなかったと、獣医師に対し、訴訟を提起しました。
訴訟になってから、私から獣医師側に要求して提出させた検査データを見たところ、術後に血液検査をしていたことが判明し、ラブちゃんは術後に低カリウム血症になっており、要治療値までカリウム値が下がっていたのに、獣医師はなんらカリウム補給の治療もせず、帰宅させたことも判明しました。
飼い主は、獣医師に対し、高血糖値のままラブちゃんの手術を行った過失、術後に低カリウム血症を放置した過失、および術前術後に飼い主にラブちゃんの異常を伝えなかった説明義務違反などの過失を主張しました。
これに対し獣医師は、死亡原因につき、ラブちゃんが死亡したのは冬であるにも関わらず、フィラリアによる突然死など、あり得ない主張を展開しました。
判決では、高血糖のラブちゃんが、手術によるストレスで更に血糖値が上がり、低カリウム血症で心不全呼吸困難を引き起こし死亡したと認定し、飼い主の主張した、獣医師の術前、術後の義務違反および説明義務違反を認めました。
損害額としては、慰謝料が、1人20万円、合計40万円認められ、その他治療費等も認められました。
その後、この判決は、獣医師側が控訴せず、確定しました。
このケースは、術前術後に血液検査をしており、明白に異常値が現れているのにもかかわらず、なんら対応をしなかった点で獣医師の過失が顕著といえます。避妊手術という獣医師にとっては定型的といえる手術であっても慎重に手術が行われるよう、この判決が今後の獣医療の良い意味で警告になってくれればと思います。
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